樹脂・エンプラ 物性比較表【切削加工用】
樹脂・エンプラ 物性比較表【切削加工用】
切削加工に使われる樹脂・エンプラ・スーパーエンプラ・セラミックスについて、材料選定でよく比較される項目を一覧にまとめました。 選定の際に横並びで比べられるよう、KIRIURI.COM で取り扱いのない材料も含めて掲載しています。 取扱のある材料は「当社取扱」欄からそのままご購入いただけます。
本ページの数値は、各素材メーカーが公開している技術資料・カタログ等をもとにした参考値です。 測定規格・試験片形状・グレード・ロットにより数値は変動します。 設計・採用のご判断にあたっては、必ずメーカー発行の最新データシートでご確認いただくか、弊社までお問い合わせください。 本表の数値に基づく判断により生じた損害について、弊社は責任を負いかねます。
スーパーエンジニアリングプラスチック
| 材料 | 当社取扱 | 比重 | 耐熱の目安 (連続使用温度) |
引張強さ (MPa) |
吸水率 (%) |
主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| PBI ポリベンゾイミダゾール |
SCM7000 SCM7000HP |
1.30–1.38 | 荷重たわみ温度 410℃ (1.8MPa) |
約150 | 約0.40 | 樹脂で最高クラスの耐熱性。高強度・高硬度、低熱膨張。プラズマ耐性良好 |
| PI ポリイミド |
ベスペル SP-1/SP-21/ SP-22/SP-211/SP-3/ SP-202/SCP-5000 ほか |
1.42–1.45 | 連続 300℃ 断続 480℃ (SP-1) |
約90 | 約0.03 | 高温下での寸法安定性と絶縁性。グレードにより低摩擦・導電・低アウトガスを選択可 |
| PAI ポリアミドイミド |
Ti5013 | 1.42–1.44 | 250℃ Tg 280℃/HDT 278℃ |
約85 | 約0.33 | 無充填樹脂では最高クラスの機械的強度。耐クリープ性が高い |
| PEEK ポリエーテルエーテルケトン |
TECAPEEK ナチュラル | 1.31 | 長期 260℃ 短期 300℃ |
110–116 | 0.03 (24h) |
耐熱・強度・耐薬品・耐加水分解のバランスが良く、切削加工性も良好 |
| PEI ポリエーテルイミド |
ジュラトロンPEI | 1.27 | 170℃ | 124 | — | 難燃 UL94 V-0・低発煙。熱水/蒸気に対し安定。透明性あり |
| PPS ポリフェニレンサルファイド |
PPS ナチュラル | 1.34–1.38 | 約260℃ | 約85 | 0.01 | 吸水率が極めて低く寸法安定性に優れる。耐薬品性が高い |
| PTFE 四フッ化エチレン |
PTFE 白 | 2.10–2.30 | 約260℃ | 約30 | 0.01 | ほぼ全ての薬品に耐性。摩擦係数が最小クラス。強度・剛性は低い |
| LCP 液晶ポリマー |
取扱なし | 1.35–1.44 | 約230℃ | 約90 | 0.07 | 非常に低い線膨張と高い流動性。薄肉成形品に多い |
| PES ポリエーテルサルホン |
取扱なし | 1.37–1.40 | 約220℃ | 約70 | 0.08 | 透明で高耐熱。加水分解に強く、繰り返し滅菌に耐える |
| PSU ポリサルホン |
取扱なし | 1.24–1.30 | 約210℃ | 約70 | 0.09 | 透明・高耐熱・加水分解に強い。医療器具に多い |
| PPA ポリフタルアミド |
取扱なし | 1.20–1.35 | 約200℃ | 約90 | 0.20 | 耐熱ナイロン系。強度と耐熱のバランスが良い |
| PVDF ポリフッ化ビニリデン |
取扱なし | 1.78–1.80 | 約220℃ | 約50 | 0.03 | フッ素樹脂の中では強度・剛性が高い。薬液配管に多い |
| PFA パーフルオロアルコキシ |
取扱なし | 約2.15 | 約250℃ | 約30 | 0.01 | PTFE 並の耐薬品性に加え、溶融成形が可能 |
| ETFE エチレン四フッ化エチレン |
取扱なし | 1.70–1.75 | 約240℃ | 約30 | 0.01 | フッ素樹脂の中では機械的強度と耐放射線性が高い |
| FEP 四フッ化エチレン六フッ化 プロピレン共重合 |
取扱なし | 2.12–2.17 | 約230℃ | 約30 | 0.01 | 透明性があり溶融成形が可能。電線被覆に多い |
| PCTFE 三フッ化塩化エチレン |
取扱なし | 約2.15 | 約225℃ | 約25 | 0.01 | フッ素樹脂で最もガスバリア性が高い。低温特性に優れる |
エンジニアリングプラスチック
| 材料 | 当社取扱 | 比重 | 耐熱の目安 (連続使用温度) |
引張強さ (MPa) |
吸水率 (%) |
主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| PA ナイロン(MCナイロン) |
MC901/MC900/MC801/ MC703HL/MC602ST/ MC501CD/MC500AS |
1.16 | −40〜120℃ MC602ST は150℃ |
約96 | 吸水大 | 耐摩耗性・靭性に優れる。吸水による寸法変化に注意 |
| POM ポリアセタール |
白/黒/青/赤/黄/緑 | 1.41 | 約140℃ | 約70 | 0.20 | 摺動性・寸法安定性・疲労強度に優れ、切削加工性が非常に良い |
| PC ポリカーボネート |
PC 透明 | 1.20–1.22 | 約120〜150℃ | 約70 | 0.15 | 透明性と耐衝撃性が高い。有機溶剤に弱く、応力割れに注意 |
| PBT ポリブチレンテレフタレート |
PBT ナチュラル(板) | 1.31–1.41 | 約120℃ | 約60 | 0.10 | 低吸水で電気特性が安定。寸法精度を出しやすい |
| PE-UHMW 超高分子量ポリエチレン |
PE-UHMW 白 | 約0.94 | 約80℃ | 約38 | 0.01 | 耐摩耗性・耐衝撃性が非常に高い。破断伸び 400〜500%以上 |
| ユニレート 熱可塑性ポリエステル系 コンポジット |
ユニレートPR(丸棒) ユニレートPC(板) |
1.63 | 約120℃ | — | 低吸水 | PET にガラス短繊維・無機フィラーを複合。電気絶縁・剛性・寸法安定性に優れる |
| PET ポリエチレンテレフタレート |
取扱なし | 1.34–1.40 | 約115℃ | 約60 | 0.20 | POM より剛性が高く、寸法安定性に優れる |
| mPPE 変性ポリフェニレンエーテル |
取扱なし | 1.05–1.13 | 約110℃ | 約55 | 0.25 | 軽量で電気特性・寸法安定性が良い。吸水が少ない |
| PMMA アクリル |
取扱なし | 1.18–1.20 | 約85℃ | 約75 | 0.40 | 透明性が最も高い。耐候性が良いが割れやすい |
汎用プラスチック
| 材料 | 当社取扱 | 比重 | 耐熱の目安 (連続使用温度) |
引張強さ (MPa) |
吸水率 (%) |
主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ABS | ナチュラル/黒 | 1.04–1.07 | 約100℃ | 約45 | 0.30 | 切削・接着・塗装がしやすい。試作や治具に適する |
| PP ポリプロピレン |
PP ナチュラル(乳白) | 0.90–0.91 | 約70℃ | 約35 | 0.01 | 軽量で耐薬品性が高い。水に浮く。耐熱は低め |
| PE-HD 高密度ポリエチレン |
PE-HD 乳白 | 0.91–0.97 | 約60〜80℃ | 約25 | 0.01 | 安価で耐薬品性・耐水性に優れる。強度・耐熱は低い |
| PVC 塩化ビニル |
取扱なし | 1.38–1.41 | 約80℃ | 約50 | 0.40 | 難燃性があり安価。耐酸・耐アルカリに優れる |
| PS ポリスチレン |
取扱なし | 1.04–1.08 | 約90℃ | 約40 | 0.50 | 透明で安価だが脆く、耐薬品性に劣る |
セラミックス材料
| 材料 | 当社取扱 | 密度 (g/cm³) |
曲げ強度 (MPa) |
熱伝導率 (W/m・K) |
主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| マシナブル セラミックス |
シェイパル Hi Msoft (トクヤマ) |
2.88 | 300 | 92 | 窒化アルミ(AlN)と窒化ホウ素(BN)の複合焼結体。切削加工ができるセラミックス。体積抵抗率 1.0×1015 Ω・cm、絶縁破壊電圧 65kV/mm |
| アルミナ Al2O3 |
アルミナ 象牙色 チューブ/保護管/細菅 |
純度による | 純度による | 純度による | 実用域で約1500℃まで使用可能。高硬度・高絶縁・耐摩耗。純度により物性が大きく変わるため、詳細はお問い合わせください |
条件から材料を選ぶ
使用温度から選ぶ
連続使用温度の目安で並べると、次のようになります。
| 温度帯 | 候補材料 |
|---|---|
| 300℃以上 | PBI(SCM7000)、PI(ベスペル SP-1 は連続300℃) |
| 250〜300℃ | PEEK(長期260℃)、PPS(約260℃)、PTFE(約260℃)、PAI(250℃)、PFA(約250℃) |
| 150〜250℃ | ETFE、FEP、LCP、PCTFE、PVDF、PES、PSU、PPA、PEI(170℃) |
| 100〜150℃ | POM(約140℃)、PC、PBT、PA(MCナイロン 120℃)、ユニレート(約120℃)、PET、mPPE、ABS(約100℃) |
| 100℃未満 | PS、PMMA、PE-UHMW(約80℃)、PVC、PP(約70℃)、PE-HD(約60〜80℃) |
摺動・耐摩耗を重視する場合
摩擦係数の低さでは PTFE が最小クラスですが、強度と剛性が低いため荷重のかかる部位には向きません。 荷重がかかる摺動部では POM、耐摩耗性を最優先するなら PE-UHMW や MCナイロン(MC703HL などの摺動グレード)、 高温下の摺動には PI(ベスペル SP-21/SP-211 などグラファイト強化グレード) が選ばれます。
電気絶縁を重視する場合
樹脂では PI(ベスペル)、PEI、ユニレート、PBT が絶縁用途で多く使われます。 高熱伝導と絶縁を両立させたい場合は、セラミックスの シェイパル Hi Msoft(熱伝導率 92 W/m・K、体積抵抗率 1.0×1015 Ω・cm)が候補になります。 逆に静電気を逃がしたい場合は、導電グレードの MC501CD や ベスペル SP-202 が該当します。
寸法安定性を重視する場合
吸水による寸法変化を避けたい場合は、吸水率の低い PPS(0.01%)、PTFE(0.01%)、PEEK(0.03%)、PI(約0.03%) が有利です。 逆に MCナイロン は吸水量が大きく、湿度環境下で寸法が変化するため注意が必要です。 熱膨張を抑えたい場合は PI(ベスペル SP-22)、PBI、LCP が候補になります。
コストを抑えたい場合
一般に PE-HD < PP < ABS < POM < PC・PBT < PPS < PEEK < PAI < PI < PBI の順で高価になります。 要求温度・強度を満たす範囲で、できるだけ左側の材料を選ぶのがコスト面では有利です。
よくあるご質問
PEEK と PPS はどちらが耐熱性が高いですか?
連続使用温度の目安はどちらも 260℃ 前後で近い水準です。違いは機械的強度で、引張強さは PEEK が 110〜116 MPa、PPS が約 85 MPa と PEEK が上回ります。一方 PPS は吸水率 0.01% と低く、コスト面でも PEEK より有利です。強度と耐薬品性を優先するなら PEEK、寸法安定性とコストを優先するなら PPS が目安になります。
300℃で連続使用できる樹脂はありますか?
あります。PBI(SCM7000)と PI(ベスペル)が該当します。ベスペル SP-1 は連続使用温度 300℃、断続では 480℃ まで対応します。PBI は荷重たわみ温度が 410℃(1.8MPa)、ガラス転移温度 420℃ と樹脂では最高クラスの耐熱性を持ちます。
樹脂で最も強度が高い材料はどれですか?
本表の範囲では PBI(引張強さ 約150 MPa)が最も高い数値です。無充填樹脂の中では PAI(Ti5013)が最高クラスの機械的強度を持つとされています。PEEK も 110〜116 MPa と高い水準にあります。
切削加工がしやすい樹脂はどれですか?
POM は摺動性・寸法安定性に加えて切削加工性が非常に良く、精密部品に多く使われます。ABS も切削・接着・塗装がしやすく、試作や治具に適しています。PEEK も高性能材料の中では加工性が良好です。セラミックスでは、シェイパル Hi Msoft が切削加工可能なグレードです。
MCナイロンは吸水するとどうなりますか?
MCナイロンは吸水量が大きく、吸水により寸法が変化します。高い寸法精度が求められる用途や、湿度変化のある環境では、吸水率の低い POM・PPS・PEEK などの検討をおすすめします。
フッ素樹脂の PTFE・PFA・FEP・ETFE・PVDF はどう違いますか?
PTFE は耐熱・耐薬品性が最も高い一方、溶融成形ができず切削加工が中心になります。PFA と FEP は PTFE に近い耐薬品性を持ちながら溶融成形が可能です。ETFE はフッ素樹脂の中では機械的強度と耐放射線性が高く、PVDF は強度・剛性が高いため薬液配管などに使われます。KIRIURI.COM では PTFE を取り扱っています。
表に載っていない材料も購入できますか?
掲載外の材料や特殊グレードについても、お取り寄せで対応できる場合があります。お問い合わせよりご相談ください。なお在庫確認・ご注文は掛け払い登録済みの法人会員様がご利用いただけます。
少量・1本から購入できますか?
KIRIURI.COM は樹脂・エンプラ・セラミックスの切売り専門ショップです。必要な寸法・数量でご購入いただけます。在庫確認・ご注文は掛け払い登録済みの法人会員様がご利用いただけます。
出典
本ページの数値は、以下の各社が公開する技術資料・製品情報、および公開されている一般的な物性資料をもとにした参考値です(2026年8月時点)。
- PEEK(TECAPEEK): エンズィンガー
- PI(ベスペル): デュポン
- PBI(SCM7000/SCM7000HP): PBIアドバンストマテリアルズ
- PAI(Ti5013): 東レプラスチック精工
- PEI(ジュラトロンPEI)/PA(MCナイロン): 三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ
- ユニレート: ユニチカ
- シェイパル Hi Msoft: トクヤマ
- 当社取扱外の材料および汎用プラスチックの一般物性: 各種公開技術資料
数値は測定規格・グレード・ロットにより変動します。正確な値は各メーカーの最新データシートをご確認ください。