PTFE(フッ素樹脂)とは
PTFE(フッ素樹脂)とは|耐薬品性・低摩擦の特性と使いどころ
PTFE(四フッ化エチレン/フッ素樹脂)は、ほぼ全ての薬品に侵されず、摩擦係数が樹脂の中で最小クラスの材料です。 連続使用温度は約260℃、吸水率は0.01%と極めて低い一方、引張強さは約30MPaと低く、荷重のかかる部位には向きません。適材適所がはっきりした材料です。
PTFE の基本物性
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 比重 | 2.10〜2.30 | 樹脂の中では重い |
| 連続使用温度 | 約 260 ℃ | — |
| 引張強さ | 約 30 MPa | 低い。荷重部位には不向き |
| 吸水率 | 0.01 % | 樹脂で最低クラス |
| 摩擦係数 | 最小クラス | 樹脂の中で最も低い部類 |
| 耐薬品性 | ほぼ全ての薬品に耐性 | — |
| 電気特性 | 優れた絶縁性 | 高周波特性も良好 |
PTFE の特徴
1. ほぼ全ての薬品に耐える
強酸・強アルカリ・有機溶剤のいずれにもほとんど侵されません。 薬液に触れる部品では、他の樹脂で耐えられない条件でも PTFE なら使えるケースが多くあります。
2. 摩擦係数が樹脂で最小クラス
非粘着性が高く、すべりが非常に良い材料です。 ただし荷重がかかる摺動部には向きません。強度と剛性が低いため、変形(クリープ)が起きやすいためです。 荷重のかかる摺動部では POM や PI(ベスペル SP-21)が候補になります。
3. 吸水しない
吸水率 0.01% と PPS と並んで最低クラスです。湿度による寸法変化がほとんどありません。
4. 弱点は強度・剛性の低さ
引張強さは約 30 MPa と、PEEK(110〜116 MPa)の3分の1以下です。 また比重 2.10〜2.30 と樹脂の中では重い部類に入ります。 「薬品と摩擦のための材料であり、構造材ではない」と捉えるのが実務的です。
PTFE の主な用途
- シール・パッキン — 薬液まわりのシール材
- ライニング — 配管・容器の内張り
- 低荷重の摺動部 — すべり板、ガイド
- 絶縁部品 — 高周波特性を活かした電気部品
- 非粘着部品 — 付着を嫌う搬送部品
PTFE の切削加工で注意すること
- 柔らかく変形しやすい — チャッキングの締めすぎで変形します。保持方法に注意が必要です。
- 寸法が安定しにくい — 線膨張が大きく、加工後に寸法が動くことがあります。
- バリが出やすい — 靭性が高く伸びるため、切れ味の良い工具が必要です。
- クリープ — 荷重をかけ続けると変形が進みます。設計段階での考慮が必要です。
他のフッ素樹脂・材料との比較
| 比較対象 | PTFE との違い |
|---|---|
| PFA・FEP | PTFE に近い耐薬品性を持ちながら溶融成形が可能。PTFE は溶融成形できず切削加工が中心 |
| PVDF | フッ素樹脂の中では強度・剛性が高い。耐薬品性は PTFE が上 |
| PPS | 吸水率は同等(0.01%)。強度・剛性は PPS が大きく上回るが、耐薬品性と低摩擦は PTFE が上 |
| PEEK | 強度・剛性は PEEK が大きく上回る。耐薬品性と摩擦係数は PTFE が上 |
全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。
KIRIURI.COM の PTFE 取扱品
PTFE に関するよくあるご質問
PTFE は何℃まで使えますか?
連続使用温度は約 260℃ が目安です。ただし荷重がかかる状態ではクリープ(変形)が進むため、高温かつ荷重がかかる部位には向きません。実使用条件での確認をおすすめします。数値は参考値です。
PTFE の弱点は何ですか?
強度と剛性の低さです。引張強さは約 30 MPa で PEEK(110〜116 MPa)の3分の1以下です。また荷重をかけ続けるとクリープ変形が進みます。比重も 2.10〜2.30 と樹脂の中では重い部類です。薬品と摩擦のための材料であり、構造材ではないと捉えるのが実務的です。
PTFE とテフロンは同じものですか?
テフロンはデュポン社(現ケマーズ社)の商標で、材料としては PTFE を指すことが一般的です。KIRIURI.COM では PTFE(白)の丸棒・板を取り扱っています。
荷重がかかる摺動部に PTFE は使えますか?
向いていません。摩擦係数は最小クラスですが、強度と剛性が低くクリープ変形が起きやすいためです。荷重のかかる摺動部では POM、高温下なら PI(ベスペル SP-21/SP-211)が候補になります。
PTFE の切削加工で気をつけることは何ですか?
柔らかく変形しやすいため、チャッキングの締めすぎに注意が必要です。線膨張が大きく加工後に寸法が動くこと、靭性が高くバリが出やすいことにも配慮が要ります。切れ味の良い工具を使うことが重要です。
出典
本ページの数値は、各素材メーカーが公開する技術資料および公開されている一般的な物性資料をもとにした参考値です(2026年8月時点)。 数値は測定規格・グレード・ロットにより変動します。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。