PPS(ポリフェニレンサルファイド)とは
PPS(ポリフェニレンサルファイド)とは|特性・用途・PEEKとの違い
PPS(ポリフェニレンサルファイド)は、連続使用温度 約260℃ の結晶性スーパーエンジニアリングプラスチックです。 吸水率が 0.01% と極めて低く、寸法安定性と耐薬品性に優れます。PEEK に近い耐熱性を持ちながら価格を抑えられるため、コストと性能のバランスで選ばれる材料です。
PPS の基本物性
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 比重 | 1.34〜1.38 | — |
| 連続使用温度 | 約 260 ℃ | PEEK とほぼ同水準 |
| 引張強さ | 約 85 MPa | PEEK より低い |
| 吸水率 | 0.01 % | 樹脂の中で最低クラス |
| 耐薬品性 | 非常に高い | 高温下でも安定 |
| 難燃性 | 自己消火性あり | グレードにより異なる |
PPS の特徴
1. 吸水率が樹脂で最低クラス
吸水率 0.01% は、PTFE と並んで樹脂の中で最も低い水準です。 吸水による寸法変化がほとんど起きないため、湿度が変わる環境でも寸法精度を保てます。 MCナイロンのように吸水で寸法が動く材料とは対照的です。
2. PEEK に迫る耐熱性
連続使用温度は約 260℃ で、PEEK(長期260℃)とほぼ同水準です。 150℃ を超える環境で、POM や PC では耐えられない部位に使われます。
3. 耐薬品性が高い
高温下でもほとんどの薬品に侵されにくく、薬液に触れる部品や洗浄環境の部品に適します。
4. PEEK よりコストを抑えられる
耐熱性が近いにもかかわらず PEEK より安価なため、強度がそこまで要求されない高温部位では PEEK からの置き換え候補になります。
PPS の主な用途
- 半導体製造装置 — 薬液に触れる部品、治具
- 電気・電子部品 — 高温下の絶縁部品、コネクタ
- ポンプ・バルブ — 薬液まわりのシール、ハウジング
- 精密機械部品 — 寸法安定性が求められる部位
- 自動車部品 — エンジンまわりの高温部品
PPS の切削加工で注意すること
- 硬く脆い — 結晶性で硬度が高いため、無理な切り込みで欠けやすくなります。
- 工具摩耗 — 特にガラス繊維入りグレードでは工具の摩耗が早くなります。
- 加工熱 — 熱伝導率が低いため、切削条件と冷却に配慮が必要です。
- 薄肉部の割れ — 靭性が高くないため、薄肉・細径の設計では注意が必要です。
他の材料との比較
| 比較対象 | PPS との違い |
|---|---|
| PEEK | 耐熱はほぼ同等(約260℃)。引張強さは PEEK が110〜116 MPa と上。PPS は安価で吸水率も低い |
| PTFE | 吸水率は同等(0.01%)。耐薬品性と摩擦係数は PTFE が上だが、強度・剛性は PPS が大きく上回る |
| POM | 切削加工性とコストは POM が有利。耐熱と耐薬品性は PPS が大きく上回る |
| MCナイロン | 吸水による寸法変化がない点で PPS が有利。靭性と耐摩耗性は MCナイロンが上 |
全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。
KIRIURI.COM の PPS 取扱品
PPS に関するよくあるご質問
PPS は何℃まで使えますか?
連続使用温度は約 260℃ が目安です。PEEK(長期260℃)とほぼ同水準の耐熱性を持ちます。ただし荷重条件や薬品環境によって使用可能な温度は変わるため、実使用条件での確認をおすすめします。数値は参考値です。
PPS と PEEK はどちらを選ぶべきですか?
耐熱性はどちらも約260℃で同水準です。引張強さは PEEK が110〜116 MPa、PPS が約85 MPa と PEEK が上回るため、強度が必要なら PEEK です。一方 PPS は PEEK より安価なので、強度がそこまで要求されない高温部位ではコスト面で PPS が有利です。
PPS は吸水しますか?
吸水率は 0.01% と樹脂の中で最低クラスです。PTFE と並ぶ水準で、吸水による寸法変化がほとんど起きません。湿度が変化する環境でも寸法精度を保てるため、精密部品に適しています。
PPS の切削加工で気をつけることは何ですか?
結晶性で硬度が高く、靭性はそれほど高くないため、無理な切り込みで欠けが生じやすい点に注意が必要です。またガラス繊維入りグレードでは工具の摩耗が早くなります。熱伝導率が低いため切削熱がこもりやすく、切削条件と冷却への配慮も必要です。
PPS は薬品に強いですか?
高温下でもほとんどの薬品に侵されにくく、耐薬品性は樹脂の中でも高い水準です。薬液に触れる部品や洗浄環境の部品に多く使われます。
出典
本ページの数値は、各素材メーカーが公開する技術資料および公開されている一般的な物性資料をもとにした参考値です(2026年8月時点)。 数値は測定規格・グレード・ロットにより変動します。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。