MCナイロンとは|グレードの違いと選び方
MCナイロンとは|グレードの違いと選び方・切削加工のポイント
MCナイロンは、モノマーキャスト法で重合された鋳造ナイロン(PA6系)です。 一般の6ナイロンに比べて機械的強度・耐摩耗性・耐熱性・化学的性質が向上しており、 歯車・軸受・ローラーなど、削り出しで作る機械部品に最も広く使われるエンジニアリングプラスチックのひとつです。
MCナイロンの基本物性
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 比重 | 1.16 | 樹脂の中でも軽量 |
| 引張強さ | 約 96 MPa | エンプラとして高水準 |
| 使用温度範囲 | −40 〜 120 ℃ | MC602ST は 150℃ |
| 吸水性 | 大きい | 寸法変化に注意 |
| 耐摩耗性 | 優れる | 摺動グレードでさらに向上 |
| 電気特性 | 絶縁 | MC501CD は導電グレード |
MCナイロンの特徴
1. 耐摩耗性と靭性に優れる
金属に比べて軽く、相手材を傷つけにくいため、歯車・軸受・ローラー・ライナーなどの摺動部品に多用されます。 無潤滑でも使えることから、給油が難しい部位でも採用されます。
2. 切削加工しやすい
丸棒・板からの削り出しに向いており、複雑形状の機械部品を短納期で製作できます。
3. 用途別のグレードが豊富
基本グレードの MC901 に充填材や添加剤を配合することで、耐候・摺動・耐熱・導電・帯電防止といった性能に特化させたグレードが用意されています。
4. 注意点は吸水による寸法変化
MCナイロンは吸水量が大きく、吸水すると寸法が変化します。 高い寸法精度が求められる用途や湿度変化のある環境では、この点を織り込んだ設計が必要です。 寸法安定性を最優先する場合は、吸水率の低い POM・PPS・PEEK などの検討をおすすめします。
MCナイロン グレードの違いと選び方
| グレード | 色 | 位置づけ・特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| MC901 | 青 | 基本グレード。一般の6ナイロンより機械的強度・耐摩耗性・耐熱性・化学的性質に優れる。連続使用温度 約120℃、引張強さ 約96 MPa | 歯車、軸受、ローラー、各種機械部品 |
| MC900 | アイボリー | MC901 と性能は同等で、無着色のナチュラルグレード | 着色を避けたい用途 |
| MC801 | ダークグレー | 耐候グレード。特殊グラファイトを加え、耐候性・耐摩耗性・すべり性能を向上。紫外線を遮断し屋外での長期使用に耐える | 屋外の建機部品、スライドプレート、軸受 |
| MC703HL | 紫 | 摺動グレード。特殊潤滑剤を添加し、摺動性・耐摩耗性をさらに向上 | ガイドレール、軸受、搬送機械の部品 |
| MC602ST | ココア色 | 高強度・耐熱グレード。耐熱性と機械的強度を向上させ、連続使用温度 150℃ | 車輪、ローラー、ギヤ、ライナー、治具 |
| MC501CD R2/R6/R9 | 黒 | 導電グレード。カーボン系の導電フィラーを添加し、導電性または静電気の帯電防止性を付与 | 電子部品・半導体製造装置の部品、クリーンルーム用パーツ |
| MC500AS R11 | クリーム | ノンカーボン帯電防止グレード。カーボンを使わずに帯電防止性を付与。MC501CD より高抵抗域の帯電防止性を持つ | カーボン汚染を避けたい帯電防止用途 |
目的から選ぶ早見
- まず標準で使いたい → MC901(青)/無着色なら MC900
- 屋外で使う → MC801
- 摺動性を高めたい → MC703HL
- 120℃を超える/強度が欲しい → MC602ST(連続150℃)
- 静電気を逃がしたい(導電) → MC501CD
- カーボンを避けて帯電防止したい → MC500AS
MCナイロンの切削加工で注意すること
- 吸水による寸法変化 — 加工後も湿度環境で寸法が動きます。公差が厳しい部品では吸水を見込んだ設計が必要です。
- 加工熱 — 熱伝導率が低く切削熱がこもりやすいため、切削条件と冷却に配慮が必要です。
- 残留応力 — 厚物から大きく削り込む場合、加工の前後で反りが出ることがあります。
- 柔らかさ由来のバリ — 靭性が高いため、切れ味の落ちた工具ではバリが出やすくなります。
他の材料との比較
| 比較対象 | MCナイロンとの違い |
|---|---|
| POM | 吸水率は POM が低く(0.20%)寸法安定性で有利。耐摩耗性と靭性は MCナイロンが優れる |
| PE-UHMW | 耐摩耗性・耐衝撃性は PE-UHMW が上。ただし耐熱は約80℃と低く、剛性も低い |
| PEEK | 耐熱・寸法安定性は PEEK が大きく上回るが、価格差が大きい |
| PTFE | 摩擦係数は PTFE が低いが、強度・剛性は MCナイロンが大きく上回る |
全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。
KIRIURI.COM の MCナイロン取扱品
- MC901(青)丸棒/MC901(青)板
- MC900(アイボリー)丸棒/MC900(アイボリー)板
- MC801(ダークグレー)丸棒/MC801(ダークグレー)板
- MC703HL(紫)丸棒/MC703HL(紫)板
- MC602ST(ココア色)丸棒/MC602ST(ココア色)板
- MC501CD R2(黒)丸棒/R2(黒)板
- MC501CD R6(黒)丸棒/R6(黒)板
- MC501CD R9(黒)丸棒/R9(黒)板
- MC500AS R11(クリーム)丸棒/R11(クリーム)板
必要な寸法・数量での切売りに対応しています。在庫確認・ご注文は掛け払い登録済みの法人会員様がご利用いただけます。
MCナイロンに関するよくあるご質問
MCナイロンと一般のナイロン(6ナイロン)は何が違いますか?
MCナイロンはモノマーキャスト法で重合された鋳造ナイロンで、一般の6ナイロンに比べて機械的強度・耐摩耗性・耐熱性・化学的性質が向上しています。丸棒・板の形で供給され、切削加工での部品製作に向いています。
MCナイロンは何℃まで使えますか?
基本グレードの MC901 で −40〜120℃ が目安です。より高い耐熱が必要な場合は、連続使用温度 150℃ の MC602ST があります。
MC901 と MC900 の違いは何ですか?
性能は同等で、色が異なります。MC901 は青色に着色されたグレード、MC900 は無着色のナチュラル(アイボリー)グレードです。
MCナイロンは吸水するとどうなりますか?
MCナイロンは吸水量が大きく、吸水により寸法が変化します。高い寸法精度が求められる用途や湿度変化のある環境では、吸水を見込んだ設計が必要です。寸法安定性を最優先する場合は、吸水率の低い POM・PPS・PEEK などをご検討ください。
静電気対策ができる MCナイロンはありますか?
2種類あります。MC501CD はカーボン系の導電フィラーを添加した導電グレードで、電子部品・半導体製造装置の部品やクリーンルーム用パーツに使われます。MC500AS はカーボンを使わずに帯電防止性を付与したグレードで、MC501CD より高抵抗域の帯電防止性を持ちます。
屋外で使えるMCナイロンはありますか?
MC801 が該当します。特殊グラファイトを加えることで紫外線を遮断し、耐候性・耐摩耗性・すべり性能を向上させたグレードです。屋外の建機部品やスライドプレートなどに使われます。
出典
本ページの数値およびグレード特性は、三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズが公開する MCナイロンの製品情報および公開技術資料をもとにした参考値です(2026年8月時点)。 数値は測定規格・グレード・ロットにより変動します。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。 MCナイロンは三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズの登録商標です。