PE-UHMW(超高分子量ポリエチレン)とは
PE-UHMW(超高分子量ポリエチレン)とは|耐摩耗性に優れた摺動材料
PE-UHMW(超高分子量ポリエチレン)は、耐摩耗性と耐衝撃性が非常に高い樹脂です。 比重 0.94 と軽く水に浮き、破断伸びは 400〜500% 以上と粘り強く伸びます。 一方で連続使用温度は約 80℃ と低く、剛性も高くないため、常温域の摺動・耐摩耗用途に特化した材料といえます。
PE-UHMW の基本物性
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 比重 | 約 0.94 | 水より軽く水に浮く |
| 連続使用温度 | 約 80 ℃ | 高温には不向き |
| 引張強さ | 約 38 MPa | MCナイロン・POM より低い |
| 破断伸び | 400〜500 % 以上 | 非常に粘り強い |
| 吸水率 | 0.01 % | ほとんど吸水しない |
| 耐摩耗性 | 非常に高い | 樹脂の中でも最上位クラス |
| 耐衝撃性 | 非常に高い | — |
PE-UHMW の特徴
1. 樹脂で最上位クラスの耐摩耗性
分子量が非常に大きいため、摩耗に対する耐性が突出しています。 摩耗が主な課題となる部位では、MCナイロンや POM を上回る寿命が期待できます。
2. 耐衝撃性が高く割れにくい
破断伸びが 400〜500% 以上あり、衝撃を受けても割れずに変形して吸収します。 低温でも脆くなりにくいのが特徴です。
3. 軽量で吸水しない
比重 0.94 と水より軽く、水に浮きます。吸水率も 0.01% とほとんど吸水しません。 水まわりや湿潤環境での使用に適しています。
4. 弱点は耐熱と剛性
連続使用温度は約 80℃ と低く、また剛性も高くありません。 融点が比較的低いため射出成形が難しく、圧縮成形や切削加工で製品化されるのが一般的です。
PE-UHMW の主な用途
- 搬送ライン部品 — ガイドレール、すべり板、チェーンガイド
- ホッパー・シュートの内張り — 粉体・粒体の付着防止と摩耗対策
- 食品機械 — 水まわりの摺動部品
- ライナー — 摩耗が激しい部位の保護材
- まな板・作業台 — 耐衝撃・耐水を活かした用途
PE-UHMW の切削加工で注意すること
- 柔らかく寸法が出しにくい — 粘りがあるため、精密な公差を求める部品には向きません。
- バリが出やすい — 伸びが大きいため、切れ味の良い工具が必須です。
- 線膨張が大きい — 温度変化で寸法が動きます。厳しい公差の設計は避けてください。
- 接着しにくい — 表面エネルギーが低く、接着剤がほとんど付きません。機械的な締結が基本です。
他の材料との比較
| 比較対象 | PE-UHMW との違い |
|---|---|
| MCナイロン | 耐熱・剛性・強度は MCナイロンが上(120℃ 対 80℃)。耐摩耗性と耐衝撃性は PE-UHMW が上。吸水しない点も PE-UHMW が有利 |
| POM | 剛性・寸法精度・耐熱は POM が上。摩耗が主課題なら PE-UHMW |
| PE-HD | 同じポリエチレン系だが、分子量が大きい分 PE-UHMW のほうが耐摩耗性・耐衝撃性で大きく上回る |
| PTFE | 摩擦係数は PTFE が低い。耐摩耗性と耐衝撃性は PE-UHMW が上で、価格も PE-UHMW が安い |
全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。
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PE-UHMW に関するよくあるご質問
PE-UHMW は何℃まで使えますか?
連続使用温度は約 80℃ が目安です。高温環境には向きません。100℃ を超える環境では MCナイロン(120℃)や POM(約140℃)が候補になります。数値は参考値です。
PE-UHMW と PE-HD の違いは何ですか?
どちらもポリエチレン系ですが、PE-UHMW は分子量が非常に大きく、耐摩耗性と耐衝撃性が大きく上回ります。引張強さも PE-UHMW が約38 MPa、PE-HD が約25 MPa と差があります。
PE-UHMW は水に浮きますか?
浮きます。比重は約 0.94 で水より軽い材料です。吸水率も 0.01% とほとんど吸水しないため、水まわりの用途に適しています。
耐摩耗性が最も高い樹脂は何ですか?
当社取扱材料の中では PE-UHMW が最上位クラスです。ただし連続使用温度が約80℃と低いため、高温下での耐摩耗が必要な場合は MCナイロンや PI(ベスペル SP-21)が候補になります。
PE-UHMW で精密な公差は出せますか?
向いていません。粘りがあり柔らかく、線膨張も大きいため寸法が動きやすい材料です。精密な公差が必要な部品には POM をおすすめします。
出典
本ページの数値は、各素材メーカーが公開する技術資料および公開されている一般的な物性資料をもとにした参考値です(2026年8月時点)。 数値は測定規格・グレード・ロットにより変動します。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。