PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)とは

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)とは|特性・用途・切削加工のポイント

PEEK(ピーク/ポリエーテルエーテルケトン)は、連続使用温度 260℃ に耐える結晶性のスーパーエンジニアリングプラスチックです。 耐熱性・機械的強度・耐薬品性・耐加水分解性のバランスに優れ、金属の代替材料として半導体製造装置や医療機器に広く使われています。

掲載数値は参考値です。保証値ではありません。 測定規格・試験片形状・グレード・ロットにより変動します。設計・採用にあたっては、メーカー発行の最新データシートでご確認ください。

PEEK の基本物性

TECAPEEK ナチュラル(エンズィンガー)の物性値(参考値)
項目数値備考
密度(比重)1.31 g/cm³金属より大幅に軽量
引張強さ110〜116 MPa無充填樹脂として高水準
引張弾性率約 4.5 GPaASTM D638
連続使用温度(長期)260 ℃
短期使用温度300 ℃
融点約 334 ℃結晶性樹脂
吸水率(24時間)0.03 %ASTM D570
吸水率(飽和)0.45 %DIN EN ISO 62
難燃性難燃性ありグレードにより異なる

KIRIURI.COM で取り扱う TECAPEEK ナチュラルは、エンズィンガー社製の無充填 PEEK グレードです。

PEEK の特徴

1. 樹脂として最高クラスの耐熱性

連続使用温度は 260℃、短期では 300℃ まで対応します。融点は約 334℃ です。 一般的なエンジニアリングプラスチック(POM 約140℃、PC 約120〜150℃)と比べて、使用できる温度域が大きく広がります。

2. 高温の水・蒸気に強い

PEEK は耐加水分解性に優れ、高温水や加熱蒸気にさらされても物性が安定します。 このためオートクレーブによる高圧蒸気滅菌を繰り返す医療器具や、食品機械の部品に適しています。

3. 耐薬品性が高い

ほとんどの有機溶剤・酸・アルカリに対して優れた耐性を示します。ただし濃硫酸には侵されます。

4. 摺動性・耐摩耗性と耐クリープ性

すべり性と摩耗特性が良好で、高い耐クリープ性を持ちます。荷重がかかり続ける部位でも変形しにくい材料です。

5. 高性能樹脂の中では切削加工しやすい

PI(ベスペル)や PBI といった超耐熱樹脂と比べると、PEEK は切削加工性が良好です。 そのため丸棒・板からの削り出しで精密部品を製作する用途に向いています。

PEEK の主な用途

  • 半導体製造装置 — ウェハ搬送部品、絶縁部品、治具
  • 医療機器 — 蒸気滅菌を伴う器具、手術器具の部品
  • 食品機械 — 高温洗浄に耐える搬送・軸受部品
  • ポンプ・バルブ — シールリング、ブッシュ、インペラ
  • 電気・電子 — 高温下で使用する絶縁部品、コネクタ
  • 金属代替 — 軽量化を目的としたステンレス・アルミからの置き換え

PEEK の切削加工で注意すること

  • 加工熱がこもりやすい — 樹脂は金属に比べ熱伝導率が低く、切削熱が逃げにくいため、切削条件と冷却に注意が必要です。
  • 残留応力による変形 — 大きな削り込みを行う場合、加工前後のアニール(熱処理)で寸法安定性が改善する場合があります。
  • 工具摩耗 — 硬度が高いため、特にガラス繊維・カーボン繊維入りグレードでは工具の摩耗が早くなります。
  • 薄肉・細径部の割れ — 結晶性樹脂のため、無理な切り込みで欠けが生じることがあります。

他の材料との比較

PEEK と比較されることが多い材料との違いをまとめます。

比較対象PEEK との違い
PPS耐熱は同程度(約260℃)だが、引張強さは PPS が約85 MPa と PEEK より低い。PPS のほうが安価で吸水率も低い
PI(ベスペル)耐熱は PI が上(連続300℃)。ただし PI は高価で、切削加工性は PEEK のほうが良い
PAI(Ti5013)機械的強度は PAI が上。耐熱は PAI 250℃ に対し PEEK 260℃ で PEEK がやや上
PTFE耐薬品性と摩擦係数は PTFE が上だが、強度・剛性は PEEK が大きく上回る
POM切削加工性とコストは POM が有利。耐熱は PEEK が大きく上回る(POM は約140℃)

全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。

KIRIURI.COM の PEEK 取扱品

PEEK(TECAPEEK ナチュラル)丸棒・板はこちら

PEEK 製の樹脂ネジ・ボルト類もお取り扱いしています。

必要な寸法・数量での切売りに対応しています。在庫確認・ご注文は掛け払い登録済みの法人会員様がご利用いただけます。

PEEK に関するよくあるご質問

PEEK は何℃まで使えますか?

連続使用温度は 260℃、短期使用では 300℃ が目安です。融点は約 334℃ です。ただし荷重条件や薬品環境によって使用可能な温度は変わるため、実使用条件での確認をおすすめします。

PEEK と PPS はどちらを選ぶべきですか?

耐熱性はどちらも 260℃ 前後で同程度です。引張強さは PEEK が 110〜116 MPa、PPS が約 85 MPa と PEEK が上回るため、強度が必要なら PEEK です。一方 PPS は PEEK より安価で吸水率も 0.01% と低いため、コストと寸法安定性を優先するなら PPS が候補になります。

PEEK は蒸気滅菌できますか?

PEEK は耐加水分解性に優れ、高温水や加熱蒸気にさらされても物性が安定します。このためオートクレーブによる高圧蒸気滅菌を繰り返す用途に適しています。

PEEK は金属の代わりになりますか?

密度 1.31 g/cm³ とステンレス(約7.9)やアルミ(約2.7)より軽く、耐薬品性と絶縁性を併せ持つため、軽量化や絶縁が求められる部位で金属の代替に使われます。ただし引張強さは 110〜116 MPa で金属材料より低いため、高荷重部位では設計上の検討が必要です。

PEEK の切削加工は難しいですか?

PI(ベスペル)や PBI などの超耐熱樹脂と比べると、PEEK は切削加工性が良好です。ただし樹脂は熱伝導率が低く切削熱がこもりやすいため、切削条件と冷却に配慮が必要です。大きく削り込む場合はアニール処理で寸法安定性が改善することがあります。

出典

本ページの数値は、エンズィンガー社が公開する TECAPEEK ナチュラルの技術資料をもとにした参考値です(2026年8月時点)。 数値は測定規格・グレード・ロットにより変動します。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。

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