PAI(ポリアミドイミド)とは
PAI(ポリアミドイミド)とは|無充填樹脂で最高クラスの強度を持つ材料
PAI(ポリアミドイミド)は、耐熱性に優れるイミド結合と、加工性・靭性に優れるアミド結合を併せ持つスーパーエンジニアリングプラスチックです。 無充填のプラスチックとしては最高クラスの機械的強度を誇り、KIRIURI.COM では東レプラスチック精工の Ti5013 をお取り扱いしています。
PAI の基本物性
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 連続使用温度 | 250 ℃ | — |
| ガラス転移点(Tg) | 280 ℃ | — |
| 荷重たわみ温度 | 278 ℃ | — |
| 比重 | 1.42〜1.44 | — |
| 引張強さ | 約 85 MPa | 無充填樹脂で最高クラス |
| 吸水率 | 約 0.33 % | — |
| 耐クリープ性 | 非常に高い | 長時間荷重下でも変形しにくい |
PAI の特徴
1. 無充填樹脂で最高クラスの機械的強度
ガラス繊維などの充填材を入れない状態で、プラスチックとしては最高水準の強度を持ちます。 充填材が無いため相手材を傷つけにくく、加工面もきれいに仕上がります。
2. 高い耐クリープ性
長時間荷重がかかり続けても変形が進みにくい材料です。 締結部や高荷重の摺動部など、変形が許されない部位に適します。
3. 250℃ 領域での使用
ガラス転移点 280℃、荷重たわみ温度 278℃、連続使用温度 250℃ です。 PEEK(長期260℃)とほぼ同じ温度域ですが、強度が必要なら PAI という選び方になります。
4. 非晶性樹脂ならではの特性
PAI は非晶性樹脂で、結晶性の PEEK や PPS とは挙動が異なります。 高温での寸法変化が緩やかで、精密部品に向く一方、耐薬品性は結晶性樹脂に劣る面があります。
PAI の主な用途
- 高荷重の摺動部品 — 軸受、ブッシュ、ワッシャー
- 締結部品 — 高温下で緩みが許されないネジ・スペーサー
- 半導体製造装置 — 高温かつ高荷重の治具、絶縁部品
- 圧縮機部品 — バルブプレート、シールリング
- 航空・自動車 — 金属代替の構造部品
PAI の切削加工で注意すること
- 硬く工具摩耗が早い — 高強度・高硬度のため、工具の消耗が大きくなります。
- 加工熱 — 熱伝導率が低く切削熱がこもりやすいため、切削条件と冷却に配慮が必要です。
- 材料が高価 — スーパーエンプラの中でも高価な部類です。歩留まりを意識した素材寸法の選定が重要になります。
- 吸水 — 吸水率 0.33% と PEEK(0.03%)より高いため、高精度部品では吸湿の影響も考慮が必要です。
他の耐熱樹脂との比較
| 材料 | 耐熱の目安 | 引張強さ | PAI との関係 |
|---|---|---|---|
| PBI | 荷重たわみ温度 410℃ | 約150 MPa | 耐熱・強度とも PAI を上回る。最も高価 |
| PI(ベスペル) | 連続 300℃ | 約90 MPa | 耐熱は PI が上。グレードが豊富 |
| PAI(Ti5013) | 250℃ | 約85 MPa | 無充填樹脂で最高クラスの強度と耐クリープ性 |
| PEEK | 長期 260℃ | 110〜116 MPa | 耐熱はやや PEEK が上。コストと加工性でも PEEK が有利 |
全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。
KIRIURI.COM の PAI 取扱品
必要な寸法・数量での切売りに対応しています。在庫確認・ご注文は掛け払い登録済みの法人会員様がご利用いただけます。
PAI に関するよくあるご質問
PAI は何℃まで使えますか?
連続使用温度は 250℃ が目安です。ガラス転移点は 280℃、荷重たわみ温度は 278℃ です。ただし荷重条件や雰囲気によって使用可能な温度は変わるため、実使用条件での確認をおすすめします。数値は参考値です。
PAI と PEEK はどちらを選ぶべきですか?
耐熱はやや PEEK が上(長期260℃ 対 250℃)で、引張強さも PEEK が110〜116 MPa と PAI(約85 MPa)を上回ります。ただし PAI は耐クリープ性に優れ、長時間荷重がかかる部位で変形しにくい点が強みです。コストと加工性では PEEK が有利です。
Ti5013 はどこのメーカーの製品ですか?
東レプラスチック精工の TPS-TI 5000 シリーズに含まれる PAI 材料です。KIRIURI.COM ではナチュラル色の丸棒・板を取り扱っています。
PAI が向いている用途は何ですか?
高荷重がかかり続ける摺動部品や締結部品です。耐クリープ性が高く長時間荷重下でも変形しにくいため、軸受・ブッシュ・ワッシャー、高温下で緩みが許されないネジやスペーサーなどに使われます。
PAI の切削加工は難しいですか?
高強度・高硬度のため工具の摩耗が早く、熱伝導率も低いため切削熱がこもりやすい材料です。切削条件と冷却への配慮が必要です。また材料が高価なため、歩留まりを意識した素材寸法の選定が重要になります。
出典
本ページの数値は、東レプラスチック精工が公開する TPS-TI 5000 シリーズの製品情報および公開されている一般的な物性資料をもとにした参考値です(2026年8月時点)。 数値は測定規格・グレード・ロットにより変動します。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。