ETFE(フッ素樹脂)とは

ETFE(フッ素樹脂)とは|フッ素樹脂で最も強靭な四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂

ETFE は、四フッ化エチレンとエチレンを共重合させたフッ素樹脂です。フッ素樹脂のなかでもっとも強靭で、引張伸び 415%、アイゾット衝撃強さは「破断せず」という粘りを示します。PTFE や PFA ほどの耐熱性はありませんが、耐薬品性・耐候性・耐放射線性を保ちながら機械的に丈夫というバランスのよさが持ち味です。

掲載数値は参考値です。保証値ではありません。 測定規格・試験片形状・グレード・ロットにより変動します。設計・採用にあたっては、メーカー発行の最新データシートでご確認ください。

ETFE(フッ素樹脂) の基本物性

ETFE(クレハエクストロン/受注生産品)の物性値(参考値)
項目数値備考
比重1.74PTFE(2.15前後)より軽い
引張強さ48 MPaフッ素樹脂では高い
引張伸び415 %非常に粘る
曲げ強さ25 MPa
曲げ弾性率910 MPa柔らかい
アイゾット衝撃強さ(ノッチ付)破断せず衝撃で割れない
デュロメータ硬さ67
荷重たわみ温度(1.81MPa)67 ℃荷重下では早く変形する
燃焼クラスV-0
線膨張係数9.4×10-5/℃大きい
融点267 ℃
誘電率(1MHz)2.6低い
誘電正接(1MHz)0.008

ETFE(フッ素樹脂) の特徴

1. フッ素樹脂のなかで最も強靭

ETFE の最大の特徴です。引張伸び 415%、アイゾット衝撃強さ「破断せず」と、叩いても曲げても割れません。PTFE や PFA が柔らかく傷つきやすいのに対し、ETFE は機械的な扱いに耐えるフッ素樹脂として使えます。

2. 耐薬品性・耐候性・耐放射線性

酸・アルカリ・有機溶剤に広く安定で、屋外の紫外線にも強く、放射線にも比較的耐えます。フッ素樹脂のなかでは放射線環境で使える数少ない材料で、原子力関連や医療用のケーブル被覆に使われてきました。

3. PTFE・PFA より軽い

比重 1.74 は PTFE(2.15前後)や PFA(2.12〜2.17)より軽く、同じ体積なら約2割軽くなります。

4. 耐熱は PTFE・PFA に劣る

融点 267℃ですが、荷重たわみ温度(1.81MPa)は 67℃ です。連続使用温度は一般に 150℃ 前後とされ、PTFE・PFA の 260℃ とは大きな差があります。高温用途にはそちらを検討してください。

ETFE(フッ素樹脂) の主な用途

  • 電線・ケーブル被覆 — 耐熱・耐放射線が要る配線
  • 化学プラント — ライニング、継手、バルブ部品
  • 半導体製造装置 — 薬液に触れる部品
  • 建築 — 膜材(透明で耐候性が高い)
  • 原子力・医療 — 放射線環境で使う部材

ETFE(フッ素樹脂) の切削加工で注意すること

  • 粘るためバリが出やすい — 引張伸び 415%と非常に粘り、切り終わりにバリが残ります。鋭利な刃物と抜け側の当て板で対処してください。
  • 線膨張係数が大きい — 9.4×10-5/℃ と金属の約8倍です。加工熱で寸法が動くため、測定は室温に戻してから行ってください。
  • 柔らかく逃げる — 曲げ弾性率 910 MPa と柔らかいため、工具に押されて寸法が出にくくなります。確実な保持と軽い仕上げ切削が有効です。
  • 切削温度を上げすぎない — 過熱すると分解ガスが生じます。十分な冷却と換気のもとで加工してください。

他の材料との比較

比較対象ETFE(フッ素樹脂) との違い
PTFE耐熱・耐薬品性は PTFE が上(連続260℃)、摩擦係数も PTFE が低い。強度・靭性・耐摩耗性は ETFE が大きく上
PFA耐熱は PFA が上(連続260℃)。強度・靭性は ETFE が上。ETFE は軽い
PVDF強度・剛性は PVDF が上(引張降伏57 MPa・曲げ弾性率2,100 MPa)。耐薬品性(特にアルカリ)と靭性は ETFE が上
PE-HD耐熱・耐薬品性・難燃性は ETFE が大きく上。PE-HD は圧倒的に安価

全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。

ETFE(フッ素樹脂) の物性表とお取り扱いについて

グレード別の物性表(PDF)はこちらからダウンロードできます

ETFE(フッ素樹脂) は現在、定尺品としての在庫のお取り扱いがありません。ご用途をお知らせいただければ、手配の可否と納期をお調べします。まずはお問い合わせください。

ETFE(フッ素樹脂) に関するよくあるご質問

ETFE と PTFE(テフロン)はどう違いますか?

耐熱性は PTFE が大きく上(連続260℃)ですが、ETFE は機械的にはるかに強靭です。引張伸び415%、アイゾット衝撃強さは「破断せず」で、叩いても割れません。比重も1.74と PTFE(2.15前後)より軽くなります。

ETFE は何℃まで使えますか?

融点は267℃ですが、荷重たわみ温度(1.81MPa)は67℃です。連続使用温度は一般に150℃前後とされます。260℃級が必要な場合は PTFE や PFA を検討してください。数値は参考値です。

ETFE は放射線に強いですか?

フッ素樹脂のなかでは耐放射線性が高い部類で、原子力関連や医療用のケーブル被覆に使われてきました。PTFE は放射線で劣化しやすいため、この点では ETFE が有利です。

ETFE は切削加工できますか?

できます。ただし非常に粘るためバリが出やすく、柔らかく工具から逃げやすい材料です。鋭利な刃物、確実な保持、室温に戻してからの寸法測定が要点になります。

KIRIURI.COM で ETFE は買えますか?

現在、定尺品としての在庫のお取り扱いはありません。また ETFE は受注生産品として供給されることが多い材料です。ご用途をお知らせいただければ手配の可否と納期をお調べします。

出典

本ページの数値は、クレハエクストロンが製品ページで公開している「ETFE(受注生産品)」の物性表(2026年8月取得)からの転記です。原典に代表値であり保証値ではない旨が示されています。連続使用温度は原典に記載がないため本文では一般的な目安として述べています。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。

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