PC(ポリカーボネート)とは

PC(ポリカーボネート)とは|透明で割れにくい非晶性エンプラ

PC(ポリカーボネート)は、透明でありながら極めて割れにくいことで知られる非晶性のエンジニアリングプラスチックです。アイゾット衝撃値 880 J/m は汎用エンプラのなかで突出しており、安全カバーや保護板の定番材料になっています。一方で有機溶剤に弱く、残留応力があると割れる(ソルベントクラック)性質があり、切削と洗浄には注意が要ります。

掲載数値は参考値です。保証値ではありません。 測定規格・試験片形状・グレード・ロットにより変動します。設計・採用にあたっては、メーカー発行の最新データシートでご確認ください。

PC(ポリカーボネート) の基本物性

TPS-PC NC-I / BK(東レプラスチック精工/無充填グレード)の物性値(参考値)
項目数値備考
比重(23℃)1.20
引張強度61 MPa
引張伸び140.0 %粘り強い
曲げ強度90 MPa
曲げ弾性率2.23 GPa
圧縮強さ76 MPa
アイゾット衝撃値(ノッチ付)880.0 J/m汎用エンプラで突出
ロックウェル硬度R124硬さの割に傷は付きやすい
吸水率(23℃・24時間)0.2 %低い
荷重たわみ温度(1.82MPa)133 ℃
連続使用温度115 ℃
燃焼性(UL)V-2
絶縁耐力(3mm)30.0 MV/m高い
体積固有抵抗1016 Ω·cm

PC(ポリカーボネート) の特徴

1. 圧倒的な耐衝撃性

アイゾット衝撃値 880 J/m は、PA6(70 J/m)や POM の10倍以上です。叩いても割れない、割れても飛散しにくいという性質から、機械の安全カバーや保護板、ヘルメットのシールドなどに使われます。

2. 透明性がある

無色透明で、可視光の透過率はガラスに近い水準です。ガラスより軽く割れにくいため、中が見える必要のある安全カバーでは第一候補になります。ただし表面硬度は高くないため、擦れる用途では傷が目立ちます。

3. ソルベントクラックに弱い

PC を扱ううえで最も注意すべき点です。非晶性樹脂のため残留応力が溜まりやすく、応力が残った状態でアルコール類・アセトン・一部の切削油に触れると微細な割れ(ソルベントクラック)が広がります。洗浄剤と切削油の選定、加工前後のアニールが実務上の要点になります。

4. 耐熱は 115℃、加水分解に注意

連続使用温度 115℃、荷重たわみ温度(1.82MPa)133℃ です。ただし高温高湿下では加水分解によって分子量が低下し、もろくなることがあります。蒸気滅菌を繰り返す用途にはPEI や PPSU のほうが適します。

PC(ポリカーボネート) の主な用途

  • 安全カバー・保護板 — 機械の飛散防止カバー、のぞき窓
  • 治具 — 中が見える必要のある位置決め治具、確認窓
  • 電気・電子 — 絶縁部品、端子カバー
  • 搬送設備 — 透明ガイド、シュート
  • 看板・照明 — 割れにくさを活かしたカバー類

PC(ポリカーボネート) の切削加工で注意すること

  • 切削油と洗浄剤を選ぶ — アルコール、アセトン、一部の水溶性切削油はソルベントクラックの原因になります。PC に使用可の記載がある切削油を使い、洗浄も中性洗剤と水を基本にしてください。
  • 加工前後のアニール — 残留応力を逃がすとクラックのリスクが下がります。厚板から深いポケットを削り出す場合は特に有効です。
  • 加工熱で溶けやすい — 熱がこもると刃物に溶着します。切れ味のよい工具と十分な逃がし、エアブローによる切りくず排出が効果的です。
  • 透明面は工具の切れ味で決まる — 透明性を活かす部位では、摩耗した工具を使うと白濁したような仕上がりになります。

他の材料との比較

比較対象PC(ポリカーボネート) との違い
PMMA(アクリル)透明度と表面硬度・耐候性はアクリルが上。耐衝撃性は PC が圧倒的に上(アクリルは割れやすい)
PC/ABS アロイ耐衝撃は PC 単体が上(880 対 539 J/m)。成形性・寸法安定性・難燃性(V-0)は PC/ABS が有利
PEI(ウルテム)どちらも非晶性・透明系。耐熱は PEI が大きく上(170℃ 対 115℃)。PC は無色透明かつ安価
PET剛性・耐摩耗性・低吸水は PET が上。耐衝撃性と透明性は PC が上

全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。

PC(ポリカーボネート) の物性表とお取り扱いについて

グレード別の物性表(PDF)はこちらからダウンロードできます

PC(ポリカーボネート) は現在、定尺品としての在庫のお取り扱いがありません。ご用途をお知らせいただければ、手配の可否と納期をお調べします。まずはお問い合わせください。

PC(ポリカーボネート) に関するよくあるご質問

PC(ポリカーボネート)とアクリルはどちらが割れにくいですか?

PC が圧倒的に割れにくい材料です。アイゾット衝撃値880J/mに対し、アクリルは大幅に低く、衝撃で割れます。一方で透明度・表面硬度・耐候性はアクリルのほうが優れます。

PC はなぜ割れることがあるのですか?

ソルベントクラックが主な原因です。非晶性樹脂で残留応力が溜まりやすく、その状態でアルコールやアセトン、相性の悪い切削油に触れると微細な割れが広がります。洗浄剤の選定と加工前後のアニールで防げます。

PC は何℃まで使えますか?

連続使用温度は115℃、荷重たわみ温度(1.82MPa)は133℃が目安です。ただし高温高湿下では加水分解でもろくなることがあります。蒸気滅菌を繰り返す用途にはPEIやPPSUが向きます。数値は参考値です。

PC は切削加工できますか?

できます。ただし加工熱で刃物に溶着しやすく、切削油によってはソルベントクラックの原因になります。切れ味のよい工具、十分な切りくず排出、PC 対応の切削油の使用が要点です。

KIRIURI.COM で PC は買えますか?

板・丸棒の定尺在庫のお取り扱いは現在ありません。ポリカーボネイト球はお取り扱いがあります。板・丸棒についてはご用途をお知らせいただければ手配の可否をお調べします。

出典

本ページの数値は、東レプラスチック精工が公開する切削用素材「TPS-PC NC-I / BK」の物性表、および タキロンポリマー「物性資料 タキロンポリマー製品 関連物性」(p.85)のPCET 1600/1900 の値(いずれも2026年8月取得)からの転記です。数値は測定規格・グレード・ロットにより変動します。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。

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