PE-HD(高密度ポリエチレン)とは

PE-HD(高密度ポリエチレン)とは|耐薬品性と耐水性に優れた軽量樹脂

PE-HD(高密度ポリエチレン)は、比重 0.97 と水に浮くほど軽く、ほとんど吸水せず、酸・アルカリに強い汎用樹脂です。切削しやすく安価で、食品まわりの部品や薬液に触れるパーツ、金属を傷付けたくない当て材として広く使われます。一方で耐熱は 80℃ 程度、剛性も低く、荷重や熱がかかる部位には向きません。

掲載数値は参考値です。保証値ではありません。 測定規格・試験片形状・グレード・ロットにより変動します。設計・採用にあたっては、メーカー発行の最新データシートでご確認ください。

PE-HD(高密度ポリエチレン) の基本物性

PE 721(タキロンポリマー)の物性値(参考値)
項目数値備考
比重0.97水に浮く
引張降伏応力31 MPa強度は高くない
引張破壊時呼びひずみ102 %粘る
曲げ応力38 MPa
曲げ弾性率2,100 MPa
圧縮降伏応力27 MPa荷重には弱い
シャルピー衝撃強さ47 kJ/m2割れにくい
ロックウェル硬さ(Rスケール)80柔らかい
荷重たわみ温度(1.80MPa)60 ℃
連続使用温度80 ℃耐熱は低い
線膨張率12.2×10-5·K-1大きい
耐燃性可燃性
吸水率0.01 % 未満ほとんど吸わない

PE-HD(高密度ポリエチレン) の特徴

1. ほとんど吸水せず、薬品に強い

吸水率 0.01% 未満で、湿度でも水中でも寸法が変わりません。酸・アルカリ・塩類の水溶液に対して安定で、水や薬液に浸かる部品に適しています。ただし有機溶剤には膨潤するものがあります。

2. 軽く、切削しやすい

比重 0.97 と樹脂のなかでも軽く、切削抵抗も小さい材料です。大きな部品でも扱いやすく、加工コストを抑えられます。一方で柔らかいため寸法精度は出しにくい点に注意が必要です。

3. 金属を傷付けない当て材になる

柔らかく、相手を傷付けにくいため、搬送ラインのガイドや位置決めの当て材として重宝します。より高い耐摩耗性が必要な場合は PE-UHMW(超高分子量ポリエチレン)を検討してください。

4. 接着・塗装ができない

ポリエチレンは表面エネルギーが低く、そのままでは接着剤も塗料もほとんど付きません。コロナ処理やプライマーなどの表面処理が必要になります。設計段階では、はめ込みやねじ止めなど機械的な固定を前提にしてください。

PE-HD(高密度ポリエチレン) の主な用途

  • 食品機械 — まな板、ライン部品、ホッパー内張り
  • 搬送設備 — ガイド、当て材、シュートのライナー
  • 水処理・薬液 — 槽、仕切り板、薬液に触れる部品
  • 治具 — 金属を傷付けたくない保持具、受け台
  • 建築・土木 — 養生材、緩衝材

PE-HD(高密度ポリエチレン) の切削加工で注意すること

  • 線膨張率が大きい — 12.2×10-5·K-1と金属の10倍前後あります。加工中の温度上昇でも寸法が動くため、測定は必ず室温に戻してから行ってください。
  • 柔らかく逃げる — 工具に押されて材料が逃げ、寸法が出にくくなります。鋭利な刃物と確実な保持、仕上げ代を少なくした軽い切込みが有効です。
  • バリが出やすい — 粘るため切り終わりにバリが残ります。抜け側に当て板を入れる、工具経路を工夫するなどで抑えます。
  • 反りやすい — 残留応力が出やすく、厚板から薄板を削り出すと反ります。両面から均等に落としてください。

他の材料との比較

比較対象PE-HD(高密度ポリエチレン) との違い
PE-UHMW(超高分子量PE)耐摩耗性・耐衝撃性は UHMW が圧倒的に上(衝撃で破壊せず)。PE-HD は剛性がやや高く、切削しやすく安価
PP耐熱は PP が上(連続100℃ 対 80℃)。耐衝撃性と低温特性は PE-HD が上。どちらも接着しにくい
PTFE耐熱・耐薬品性は PTFE が圧倒的に上(連続260℃)。PE-HD は圧倒的に安価で剛性も高い
POM強度・剛性・寸法精度は POM が大きく上。PE-HD は軽く安価で耐薬品性に優れる

全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。

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必要なサイズ・数量での切売りに対応しています(材質・サイズによっては定尺販売のみのものもあります)。在庫確認・ご注文は掛け払い登録済みの法人会員様がご利用いただけます。

PE-HD(高密度ポリエチレン) に関するよくあるご質問

PE-HD と PE-UHMW(超高分子量ポリエチレン)はどう違いますか?

分子量が違います。UHMW は分子量が桁違いに大きく、耐摩耗性と耐衝撃性が格段に優れます(シャルピー衝撃で破壊しません)。一方 PE-HD は剛性がやや高く、切削しやすく安価です。摩耗が問題になるなら UHMW、コストと加工性なら PE-HD です。

PE-HD は接着できますか?

そのままではほとんど接着できません。表面エネルギーが低いためです。コロナ処理やプライマーなどの表面処理が必要になります。設計上は、ねじ止めやはめ込みによる機械的な固定をおすすめします。

PE-HD は食品に使えますか?

食品用途向けのグレードが流通しています(PE 520、PEマルボー530 など)。ただし食品衛生法上の適合はグレードごとに異なるため、用途が決まっている場合はメーカーの適合証明をご確認ください。

PE-HD は何℃まで使えますか?

連続使用温度は80℃が目安です。荷重たわみ温度(1.80MPa)は60℃で、荷重がかかるとさらに低い温度で変形します。熱がかかる用途には向きません。数値は参考値です。

KIRIURI.COM で PE-HD は買えますか?

乳白の丸棒と板をお取り扱いしています。必要なサイズ・数量での切売りに対応しています(材質・サイズによっては定尺販売のみのものもあります)。下記の商品一覧からご確認ください。

出典

本ページの数値は、タキロンポリマーが公開する「物性資料 タキロンポリマー製品 関連物性」(p.83、2026年8月取得)の PE 721 の値からの転記です。原典に「記載数値は試験片厚さ5mmの実測値であって保証値ではない」と明記されています。KIRIURI.COM がお取り扱いする HSNAC-PE(日本真空化学)についてはメーカーが物性表を公開していないため、本ページには数値を掲載していません。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。

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