PES(ポリエーテルサルホン)とは

PES(ポリエーテルサルホン)とは|スルホン系で最も耐熱性の高い透明樹脂

PES(ポリエーテルサルホン)は、スルホン系樹脂のなかでもっとも耐熱性が高い非晶性のスーパーエンジニアリングプラスチックです。荷重たわみ温度(1.82MPa)210℃、ガラス転移点 225℃ と、PSU(174℃/190℃)を明確に上回ります。琥珀色の透明性と難燃性を併せ持ち、蒸気滅菌を伴う医療器具や電気部品に使われます。一方で吸水率は 0.8% と高めで、寸法設計では吸水を見込む必要があります。

掲載数値は参考値です。保証値ではありません。 測定規格・試験片形状・グレード・ロットにより変動します。設計・採用にあたっては、メーカー発行の最新データシートでご確認ください。

PES(ポリエーテルサルホン) の基本物性

PES(N)(クレハエクストロン/無充填)の物性値(参考値)
項目数値備考
比重1.37
吸水率(23℃・浸漬24h)0.8 %スルホン系では高め
引張強さ84 MPaPSU(70 MPa)より高い
引張伸び40 %
曲げ強さ129 MPa
曲げ弾性率2,600 MPa
アイゾット衝撃強さ(ノッチ付)84 J/m
ロックウェル硬さM88
荷重たわみ温度(1.82MPa)210 ℃スルホン系で最高
ガラス転移点225 ℃非晶性のため融点を持たない
燃焼クラスV-0 相当
線膨張係数5.5×10-5/℃
体積抵抗率1017 Ω·cm絶縁性に優れる

PES(ポリエーテルサルホン) の特徴

1. スルホン系で最も耐熱性が高い

荷重たわみ温度(1.82MPa)210℃、ガラス転移点 225℃ は、PSU(174℃/190℃)や PPSU(207℃/220℃)を上回ります。スルホン系の透明樹脂で、最も高い温度まで形を保てるのが PES です。

2. 透明性と難燃性を併せ持つ

琥珀色の透明性があり、燃焼クラスは V-0 相当です。添加剤に頼らない難燃性のため、航空機内装や電気部品など安全基準の厳しい分野でも使われます。

3. 吸水率が高い

PES の弱点です。吸水率 0.8%(23℃・浸漬24h)はスルホン系では高く、PSU(0.3%)の倍以上あります。湿度で寸法と電気特性が動くため、精密なはめあいや高精度の絶縁部品では吸水を見込んで設計してください。

4. 非晶性ゆえの弱点も PSU と共通

残留応力が溜まった状態で溶剤に触れるとソルベントクラックが起きます。ガラス転移点を超えると急激に軟化する点も同じです。ガラス繊維30%強化グレードでは剛性と寸法安定性が大きく上がります。

PES(ポリエーテルサルホン) の主な用途

  • 医療機器 — 蒸気滅菌を繰り返す器具、透明な観察部品
  • 電気・電子 — コイルボビン、コネクタ、絶縁部品
  • 航空機・鉄道 — 難燃性が要求される内装部品
  • 半導体製造装置 — 高温の薬液・純水に触れる部品
  • 食品機械 — 熱水洗浄を伴うライン部品

PES(ポリエーテルサルホン) の切削加工で注意すること

  • 吸水を前提に段取りする — 吸水率 0.8%と高めです。高精度部品では荒加工後になじませてから仕上げると安定します。
  • ソルベントクラック — 非晶性樹脂のため、残留応力+溶剤の組み合わせで微細な割れが入ります。切削油と洗浄剤を選んでください。
  • 加工前後のアニール — 残留応力を逃がすとクラックのリスクが下がり、寸法も安定します。
  • ガラス繊維強化品は工具が摩耗する — PES/GF30 では超硬工具やダイヤモンドコート工具を検討してください。

他の材料との比較

比較対象PES(ポリエーテルサルホン) との違い
PSU(ポリサルホン)耐熱は PES が上(210℃ 対 174℃)、強度も PES が上。吸水の少なさと価格では PSU が有利
PPSU(ポリフェニルサルホン)靭性は PPSU が大きく上(アイゾット694 J/m)。耐熱は PES がやや上
PEI(ウルテム)強度は PEI が上(引張124 MPa)。耐熱は PES がやや上。どちらも非晶性・琥珀透明・難燃
PEEK耐熱・耐薬品性・低吸水は PEEK が上(連続250〜260℃)。PES は透明性と価格で有利

全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。

PES(ポリエーテルサルホン) の物性表とお取り扱いについて

グレード別の物性表(PDF)はこちらからダウンロードできます

PES(ポリエーテルサルホン) は現在、定尺品としての在庫のお取り扱いがありません。ご用途をお知らせいただければ、手配の可否と納期をお調べします。まずはお問い合わせください。

PES(ポリエーテルサルホン) に関するよくあるご質問

PES と PSU はどちらを選べばよいですか?

耐熱が要るなら PES です(荷重たわみ温度210℃ 対 174℃)。吸水の少なさやコストを重視するなら PSU が向きます。PES の吸水率0.8%は PSU の0.3%より高く、寸法設計に影響します。

PES は何℃まで使えますか?

荷重たわみ温度(1.82MPa)は210℃、ガラス転移点は225℃です。非晶性樹脂のためガラス転移点付近で急に軟化します。数値は参考値です。

PES は吸水しますか?

します。吸水率は23℃・浸漬24hで0.8%と、スルホン系では高めです。湿度で寸法と電気特性が動くため、精密部品では吸水後を見込んで設計してください。

PES は透明ですか?

琥珀色の透明性があります。無色ではありませんが、耐熱樹脂で透明性を持つものは限られており PES の特徴のひとつです。

KIRIURI.COM で PES は買えますか?

現在、定尺品としての在庫のお取り扱いはありません。ご用途をお知らせいただければ手配の可否と納期をお調べしますので、お問い合わせください。

出典

本ページの数値は、クレハエクストロンが製品ページで公開している「PES(N)」の物性表(2026年8月取得)からの転記です。原典に代表値であり保証値ではない旨が示されています。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。

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