PFA(フッ素樹脂)とは
PFA(フッ素樹脂)とは|PTFE並みの耐薬品性を持ち溶融成形できるフッ素樹脂
PFA は、PTFE とほぼ同じ耐熱性・耐薬品性を持ちながら、溶融成形ができるフッ素樹脂です。PTFE が粉末を焼き固めて作るのに対し、PFA は通常の溶融加工が可能なため、ピンホールのない緻密な成形品が得られます。半導体製造や薬液まわりなど、汚染を嫌う流体部品で使われます。
PFA の基本物性
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 比重(23℃) | 2.12〜2.17 | 樹脂のなかでは重い部類 |
| 引張強度 | 25〜35 MPa | 強度は高くない |
| 引張伸び | 300〜350 % | 非常に大きい |
| 曲げ弾性率 | 0.54〜0.64 GPa | 柔らかい |
| 圧縮強さ | 15〜20 MPa | 荷重のかかる用途には不向き |
| アイゾット衝撃値(ノッチ付) | 破壊せず | — |
| 連続使用温度 | 260 ℃ | PTFE と同等 |
| 融点 | 310 ℃ | PTFE と違い明確な融点を持つ |
| 荷重たわみ温度(1.82MPa) | 47 ℃ | 荷重下では早く変形する |
| 吸水率(23℃・24時間) | 0.01 % | ほとんど吸水しない |
| 体積固有抵抗 | 1018 Ω·cm | 絶縁性に優れる |
| 誘電正接(106 Hz) | 0.0003 | 樹脂のなかで最小級 |
PFA の特徴
1. PTFE 並みの耐薬品性を持ちながら溶融成形できる
PFA の最大の特徴です。PTFE は溶融流動しないため粉末を圧縮・焼成して作りますが、PFA は通常の溶融成形ができます。そのため内部に微小な空隙が残りにくく、薬液が染み込みにくいという違いが生まれます。半導体の薬液配管など、汚染を極端に嫌う用途で PFA が選ばれるのはこのためです。
2. 連続使用温度 260℃
PTFE と同じ 260℃ の連続使用温度を持ちます。ただし荷重たわみ温度(1.82MPa)は47℃と低く、高温であっても荷重がかかる部位には向きません。耐熱性と機械的な負荷の許容度は別物である点に注意してください。
3. 電気特性が樹脂のなかで最高水準
誘電正接 0.0003、体積固有抵抗 1018 Ω·cm と、樹脂としては最高水準の絶縁性・低誘電損失を示します。高周波を扱う部品や、絶縁が要求される部位に適します。
4. 強度は低く、柔らかい
引張強度 25〜35 MPa、曲げ弾性率 0.54〜0.64 GPa と、エンプラのなかでは柔らかく強度の低い部類です。構造部材としてではなく、耐薬品性・非粘着性・電気特性を目的に使う材料です。
PFA の主な用途
- 半導体製造装置 — 薬液配管の継手、ライニング、ウェハ関連治具
- 化学プラント — 強酸・強アルカリに触れるバルブ部品、シール
- 分析機器 — 試料が触れる流路部品
- 電気・電子 — 高周波部品の絶縁材
- 食品・医薬 — 非粘着性を活かした接液部品
PFA の切削加工で注意すること
- 軟らかく逃げやすい — 弾性率が低いため、切削時に材料が工具から逃げて寸法が出にくくなります。切れ味のよい鋭利な刃物と、しっかりした保持が必要です。
- 線膨張係数が大きい — 12×10-5/℃ と金属の10倍前後あります。加工中の温度上昇でも寸法が動くため、仕上げ寸法は室温に戻してから測定してください。
- バリが出やすい — 伸びが 300%を超えるため、切り終わりにバリが残りやすい材料です。工具経路と抜け側の当て板で対処します。
- 切削温度の管理 — 融点310℃ですが、高温では分解ガスが生じます。過度な発熱を避けた条件設定が必要です。
他の材料との比較
| 比較対象 | PFA との違い |
|---|---|
| PTFE | 耐熱・耐薬品性はほぼ同等。PTFE は焼結品のため微小空隙が残るが、PFA は溶融成形で緻密。摩擦係数は PTFE のほうが低い |
| PVDF | 耐熱は PFA が大きく上(260℃ 対 100℃)。強度・剛性は PVDF が上で、機械部品には PVDF が向く |
| PEEK | 強度・剛性・耐荷重は PEEK が圧倒的に上。耐薬品性と電気特性は PFA が優位 |
| PP | どちらも耐薬品性はあるが、耐熱は PFA が大きく上(260℃ 対 100℃)。PP は圧倒的に安価で軽い |
全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。
PFA の物性表とお取り扱いについて
グレード別の物性表(PDF)はこちらからダウンロードできます
PFA は現在、定尺品としての在庫のお取り扱いがありません。ご用途をお知らせいただければ、手配の可否と納期をお調べします。まずはお問い合わせください。
PFA に関するよくあるご質問
PFA と PTFE(テフロン)はどう違いますか?
耐熱性・耐薬品性はほぼ同等ですが、成形方法が異なります。PTFE は溶融流動しないため粉末を焼き固めて作るのに対し、PFA は溶融成形ができます。そのため PFA のほうが緻密で、薬液が染み込みにくい成形品になります。摩擦係数は PTFE のほうが低くなります。
PFA は何℃まで使えますか?
連続使用温度は260℃が目安です。ただし荷重たわみ温度(1.82MPa)は47℃と低く、荷重がかかる部位では低い温度でも変形します。耐熱と耐荷重は分けて考えてください。数値は参考値です。
PFA は切削加工できますか?
できます。ただし柔らかく弾性率が低いため工具から逃げやすく、バリも出やすい材料です。鋭利な刃物と確実な保持、室温に戻してからの寸法測定が仕上がりを左右します。
PFA はどんな薬品に耐えますか?
ほぼすべての酸・アルカリ・有機溶剤に対して安定です。ただし溶融アルカリ金属や高温のフッ素ガスなど、一部の条件では侵されます。実使用条件でのご確認をおすすめします。
KIRIURI.COM で PFA は買えますか?
現在、定尺品としての在庫のお取り扱いはありません。PTFE(ナフロン)はお取り扱いがあります。PFA についてはご用途をお知らせいただければ手配の可否をお調べしますので、お問い合わせください。
出典
本ページの数値は、東レプラスチック精工が公開する切削用素材「PFA NC」の物性表(2026年8月取得)からの転記です。数値は測定規格・グレード・ロットにより変動します。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。