PMP(ポリメチルペンテン)とは
PMP(ポリメチルペンテン)とは|樹脂で最も軽く透明な耐熱材料
PMP(ポリメチルペンテン)は、実用樹脂のなかでもっとも軽い(比重 0.83)材料です。ポリオレフィンでありながら透明性を持ち、荷重たわみ温度(0.45MPa)203℃、連続使用温度 115℃ とポリオレフィンとしては高い耐熱性を備えます。離型性がよく薬品にも強いため、理化学器具や離型用の部材に使われます。「TPX」の名でも知られています。
PMP(ポリメチルペンテン) の基本物性
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 比重 | 0.83 | 実用樹脂で最軽量 |
| 引張降伏応力 | 28 MPa | 強度は高くない |
| 引張破壊時呼びひずみ | 24 % | — |
| 曲げ応力 | 37 MPa | — |
| 曲げ弾性率 | 1,300 MPa | 柔らかい |
| 圧縮降伏応力 | 44 MPa | — |
| シャルピー衝撃強さ | 0.7 kJ/m2 | 非常に脆い |
| ロックウェル硬さ(Rスケール) | 97 | — |
| 荷重たわみ温度(0.45MPa) | 203 ℃ | ポリオレフィンでは高い |
| 荷重たわみ温度(1.80MPa) | 117 ℃ | — |
| 連続使用温度 | 115 ℃ | PP(100℃)より高い |
| 誘電率(1MHz) | 2.1 | 樹脂のなかで最小級 |
| 誘電正接(1MHz) | 0.001 未満 | 高周波特性に優れる |
| 吸水率 | 0.01 % 未満 | ほとんど吸わない |
PMP(ポリメチルペンテン) の特徴
1. 実用樹脂でもっとも軽い
比重 0.83 は、汎用・エンプラを通じて最も軽い部類です。PP(0.91)よりさらに軽く、水にはっきり浮きます。徹底した軽量化が求められる部品で他に代えがたい選択肢になります。
2. 透明で、しかも耐熱がある
ポリオレフィンでありながら透明性を持ち、荷重たわみ温度(0.45MPa)203℃、連続使用温度 115℃ を備えます。中が見えて、かつ熱がかかるという条件を満たす数少ない安価な材料です。理化学器具のビーカーや実験器具に使われるのはこのためです。
3. 離型性がよい
表面エネルギーが低く、樹脂やゴムが付きにくい性質があります。この離型性を活かして、成形用の離型部材や複合材成形時のバッグフィルムなどに使われます。裏を返せば接着・塗装はできません。
4. 非常に脆い
PMP の最大の弱点です。シャルピー衝撃強さ 0.7 kJ/m2 はPP(8.1)の10分の1以下、PE-HD(47)とは比較になりません。衝撃や曲げが加わる部位には使えません。角部の応力集中にも弱く、設計では十分な R を確保してください。
PMP(ポリメチルペンテン) の主な用途
- 理化学器具 — ビーカー、試験器具、耐熱透明容器
- 離型部材 — 成形用の離型板、フィルム
- 医療 — 使い捨て器具、透明な観察部品
- 電気・電子 — 高周波部品(誘電正接 0.001 未満)
- 軽量化部品 — 重量を極限まで抑えたい治具
PMP(ポリメチルペンテン) の切削加工で注意すること
- とにかく欠けやすい — シャルピー衝撃強さ 0.7 kJ/m2と非常に脆い材料です。角部・薄肉部は簡単に欠けます。切れ味のよい工具で、軽い切込みを重ねてください。
- クランプで割れる — 強く締め付けると割れます。広い面で受ける、当て板を挟むなど、保持のしかたに最も気を遣う材料です。
- 線膨張率が大きい — 11.7×10-5·K-1あります。寸法測定は室温に戻してから行ってください。
- 透明面は工具の切れ味次第 — 摩耗した工具では白濁したような面になります。仕上げは新しい刃で行ってください。
他の材料との比較
| 比較対象 | PMP(ポリメチルペンテン) との違い |
|---|---|
| PP | 耐熱は PMP が上(連続115℃ 対 100℃)、軽さも PMP が上(0.83 対 0.91)。透明性も PMP のみ。耐衝撃性は PP が10倍以上上 |
| PC | 透明性ではどちらも可。耐衝撃性は PC が圧倒的に上(PMP は非常に脆い)。軽さと耐薬品性、高周波特性は PMP が上 |
| PMMA(アクリル) | 透明度と表面硬度はアクリルが上。耐熱と軽さ、耐薬品性は PMP が上。どちらも脆い |
| PTFE | 耐熱・耐薬品性は PTFE が上(連続260℃)。PMP は圧倒的に軽く、透明で、剛性も高い |
全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。
PMP(ポリメチルペンテン) の物性表とお取り扱いについて
グレード別の物性表(PDF)はこちらからダウンロードできます
PMP(ポリメチルペンテン) は現在、定尺品としての在庫のお取り扱いがありません。ご用途をお知らせいただければ、手配の可否と納期をお調べします。まずはお問い合わせください。
PMP(ポリメチルペンテン) に関するよくあるご質問
PMP と TPX は同じものですか?
同じ材料です。TPX は三井化学のポリメチルペンテンの商標で、材料としてはポリメチルペンテン(PMP)を指します。
PMP はなぜ軽いのですか?
分子構造にかさ高い側鎖を持ち、分子が密に詰まらないためです。比重0.83は実用樹脂のなかで最も軽い部類で、水にはっきり浮きます。
PMP は何℃まで使えますか?
連続使用温度は115℃が目安です。荷重たわみ温度は0.45MPaで203℃、1.80MPaで117℃です。ポリオレフィンとしては高い耐熱性を持ちます。数値は参考値です。
PMP は割れやすいですか?
非常に脆い材料です。シャルピー衝撃強さ0.7kJ/m2はPP(8.1)の10分の1以下です。衝撃や曲げが加わる部位には使えません。切削時のクランプでも割れることがあるため、保持方法に注意が必要です。
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現在、定尺品としての在庫のお取り扱いはありません。ご用途をお知らせいただければ手配の可否と納期をお調べしますので、お問い合わせください。物性表PDFは無料でダウンロードいただけます。
出典
本ページの数値は、タキロンポリマーが公開する「物性資料 タキロンポリマー製品 関連物性」(p.84、2026年8月取得)の PMP M600 の値からの転記です。原典に「記載数値は試験片厚さ5mmの実測値であって保証値ではない」と明記されています。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。