PPE(変性ポリフェニレンエーテル)とは
PPE(変性ポリフェニレンエーテル)とは|低吸水で電気特性に優れた軽量エンプラ
PPE(ポリフェニレンエーテル)は、単独では成形しにくいためポリスチレンなどとアロイ化した変性PPEとして流通します。比重 1.09 とエンプラのなかで軽く、吸水率 0.07% という低さと、誘電率 2.6 の優れた電気特性を併せ持ちます。湿度で電気特性が動いては困る絶縁部品や、軽量化が要る部品に向きます。
PPE(変性ポリフェニレンエーテル) の基本物性
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 比重 | 1.09 | エンプラでは軽い |
| 吸水率(23℃・浸漬24h) | 0.07 % | ほとんど吸水しない |
| 引張強さ | 61 MPa | — |
| 引張伸び | 40 % | 粘りがある |
| 曲げ強さ | 89 MPa | — |
| 曲げ弾性率 | 2,600 MPa | — |
| アイゾット衝撃強さ(ノッチ付) | 98 J/m | 衝撃に強い |
| ロックウェル硬さ | R119 | — |
| 荷重たわみ温度(1.82MPa) | 129 ℃ | — |
| ガラス転移点 | 145 ℃ | 非晶性のため融点を持たない |
| 燃焼クラス | V-1 相当 | — |
| 線膨張係数 | 5.4×10-5/℃ | 小さい |
| 誘電率(1MHz) | 2.6 | 樹脂のなかで低い部類 |
| 体積抵抗率 | 1016 Ω·cm | — |
PPE(変性ポリフェニレンエーテル) の特徴
1. ほとんど吸水しない
吸水率 0.07%(23℃・浸漬24h)は、PA6(1.8%)の20分の1以下です。湿度が変わっても寸法・電気特性がほとんど動きません。PPE が電気部品で使われる最大の理由がここにあります。
2. 誘電率が低く、高周波に向く
誘電率(1MHz)2.6 は樹脂のなかで低い部類で、低吸水と組み合わさることで湿度によらず安定した電気特性が得られます。高周波を扱う部品や絶縁部品に適します。
3. 軽くて衝撃に強い
比重 1.09 はエンプラのなかで軽く、アイゾット衝撃強さ 98 J/m と粘りもあります。軽量化と耐衝撃を両立したい部品に向きます。
4. 耐熱・耐薬品性は高くない
荷重たわみ温度(1.82MPa)は 129℃、ガラス転移点は 145℃ です。非晶性樹脂のため芳香族系・塩素系の溶剤に侵されます。溶剤に触れる用途には向きません。ガラス繊維20%強化グレードでは荷重たわみ温度が 140℃ 前後まで上がります。
PPE(変性ポリフェニレンエーテル) の主な用途
- 電気・電子 — 絶縁部品、コネクタ、端子台、高周波部品
- OA機器・家電 — 筐体、内部部品
- 自動車 — 電装部品、内装部品
- 治具 — 軽量化と絶縁を兼ねた保持具
- 水回り — ポンプ部品、配管部材(低吸水を活かす)
PPE(変性ポリフェニレンエーテル) の切削加工で注意すること
- 溶剤に弱い — 芳香族系・塩素系の溶剤で侵されたりクラックが入ったりします。切削油と洗浄剤の選定に特に注意してください。
- 加工熱で軟化する — 荷重たわみ温度 129℃、ガラス転移点 145℃ です。熱がこもると刃物に溶着します。切りくずの排出を確保してください。
- アニールで残留応力を逃がす — 非晶性樹脂のため応力が残るとクラックの起点になります。
- ガラス繊維強化品は工具が摩耗する — PPE/GF20 では超硬工具の使用と切削条件の見直しが要ります。
他の材料との比較
| 比較対象 | PPE(変性ポリフェニレンエーテル) との違い |
|---|---|
| PC(ポリカーボネート) | 耐衝撃性と透明性は PC が上。低吸水・電気特性・軽さは PPE が上 |
| PBT | 吸水率はどちらも低い。耐薬品性は PBT が上、耐熱と耐衝撃性は PPE が上 |
| ABS | 切削性と価格は ABS が有利。耐熱・低吸水・電気特性・耐衝撃性は PPE が大きく上 |
| PPS | 耐熱・耐薬品性は PPS が圧倒的に上(連続220℃)。PPE は軽く安価で、誘電率も低い |
全材料の横並び比較は 樹脂・エンプラ 物性比較表 をご覧ください。
PPE(変性ポリフェニレンエーテル) の物性表とお取り扱いについて
グレード別の物性表(PDF)はこちらからダウンロードできます
PPE(変性ポリフェニレンエーテル) は現在、定尺品としての在庫のお取り扱いがありません。ご用途をお知らせいただければ、手配の可否と納期をお調べします。まずはお問い合わせください。
PPE(変性ポリフェニレンエーテル) に関するよくあるご質問
PPE と変性PPE は違うものですか?
PPE 単独では溶融時の流動性が低く成形しにくいため、実用材料はポリスチレンなどとアロイ化した「変性PPE(m-PPE)」です。切削用の板・丸棒として流通しているのも変性PPEです。
PPE はなぜ電気部品に使われるのですか?
吸水率が0.07%と極めて低く、誘電率も2.6と低いためです。湿度が変わっても寸法と電気特性がほとんど動かないので、安定した絶縁性能が求められる部品に適しています。
PPE は何℃まで使えますか?
荷重たわみ温度(1.82MPa)は129℃、ガラス転移点は145℃です。ガラス繊維20%強化グレードでは荷重たわみ温度が上がります。数値は参考値です。
PPE はどんな薬品に弱いですか?
芳香族系・塩素系の溶剤に侵されます。切削油や洗浄剤の選定に注意が必要で、溶剤に触れる用途には向きません。水・酸・アルカリには比較的安定です。
KIRIURI.COM で PPE は買えますか?
現在、定尺品としての在庫のお取り扱いはありません。ご用途をお知らせいただければ手配の可否と納期をお調べしますので、お問い合わせください。
出典
本ページの数値は、クレハエクストロンが製品ページで公開している「PPE(変性)(黒)」の物性表(2026年8月取得)からの転記です。原典に代表値であり保証値ではない旨が示されています。正確な値はメーカーの最新データシートをご確認ください。